高度成長期の給与体系

日本の企業の給与体系というものは「年功序列・終身雇用」に基づいて長年掛かって形成されてきたものである。それは高度成長期の時代に適したバランスの取れたものであった。

バブル崩壊後の低迷する経済状態が日本の国民だれもが思っていた以上に長期化して、この先も景気回復の見通しが立たない状態である。不景気を理由に業績が悪化した企業が最初にメスを入れるところは「労務費」である。雇われる身分からすれば「経営者はもうちっと頭使えよ」と言いたくなるのだが、経営者側からすれば比較的簡単にカットできる費用が「労務費」なのである。会社の収入が減っているのだから支出も減らすのは当たり前のこと。たしかにそうだろうが、労務費カットが最優先課題とはなんともトホホな経営者たちである。(これは世間一般論であって必ずしも私の勤務先のことを言っているわけではありません。でも、どこも似たようなものでしょう。)

不景気な時代に合った給与体系を構築と言えば聞こえは良いのでしょうが、各所で不条理な「給与体系の見直し」という話題を見聞きします。

「年功序列・終身雇用」これに基づいて形成された給与体系というものはだいたい次のようなものです。
(企業規模や業種、職種によっては若干違うかもしれません)

・入社後数年間の殆ど戦力にならない若者
 企業側からすると給与を払いすぎであるが、人並みの生活ができるだけの給与を出す必要があるので仕方がない。企業の将来のことを考えても少しでも優秀な人材を確保しておきたい。

・バリバリ仕事ができるようになった二十代後半から三十代前半
 新人君に比べてもあまり基本給は高くない。企業としては安くコキ使えるお得な社員。働く側からすれば給与の低さに不満をもちながらも仕事が一番面白い時期であるので我慢して働く。

・中堅社員として重要な仕事をこなす三十代後半から四十代前半
 ある程度の役職につくようになり、給与もそれなりに高くなる。労働に対する報酬としてはバランスが一番取れている。

・成長無き四十代後半から五十代前半
 ピラミッド構造の組織の弊害が現れる。一部の優秀な人材を除き、活躍する場を失っている“単に給料が高いだけ”という人が労務費を圧迫する。

・ご隠居状態の五十代後半
 僅かなエリートを除けば、定年まで生活のためにとりあえず会社に通っているという人たちが労務費を圧迫する。

現役世代が年輩者を養っているというところが、世間で騒がれている「年金制度」とまるで同じです。ただし、年功序列の給与体系ならば「将来たくさん貰えるようになる」が保証されている点は年金制度とは大いに違います。

三十代半ばまで安い給料でコキ使われた分をそれ以降で回収するというのが従来の給与体系です。

「従来の給与体系では若い人(二十代後半から三十代前半)のやる気を損なう。見直しが必要だ。」と制度改正に乗り出している企業もあることでしょう。改正と言いつつ改悪なものになってしまうことも事実。全体最適化ではなく部分最適化をしてしまうことが原因である。「若い人の給与を上げて、年輩者の給与を下げる。」そのような単純な発想で良いと思っているのか。50歳を過ぎると「手当てカット」「昇給カット」「賞与ダウン」それが当たり前のようなされている。何かおかしくないか。